14/07/2006 カミヨミ幼稚園っ子たちは、先生引率の元、昼の四時くらいから一時間くらい近所のお祭りに出てくれるといいです。まあ宗教が……あるかと思うんですけど、そこら辺は園児全員の両親に了解をとって。 四時くらいだとまだ明るいし、お社にも人がいない。 そこへわらわらっと子供を引き連れた日明先生と飛天先生がやってくる。みんなの一年間の元気をお参りした後は、嬉し楽しの屋台めぐりっ! 子供たちに「時報が聞こえたら、入り口に戻るように。先生たちはずっとそこで待っているから、何かあったらすぐ来るんだぞ」と言って、解散。一人三百円(一回遊んだら終わりくらい)のお小遣いを握りしめて一斉に走り出します。 ***** 炎は一直線に輪投げへ向かおうとします。この日のために、一生懸命幼稚園の自由時間で、輪投げの練習を必死にしておきます。 もちろん真がゆっくり歩くのに腹を立てて、 「急がんかっ!」 「一番ではないほうが傾向と対策が練れるだろう」 と、友達を宥め透かしてなんとか到着。すでに他の園児たちもいますが、まだ皆遠巻きに見て迂闊に手を出せない状態です。 輪投げ屋の主は去年の人なので、また来たな、と内心思います。 「君たち、お小遣いいくら?」 「さ、三百円……」 「よしよし。 じゃあ、百円でいいよ。幼稚園の子たちはね」 とおじさんがにっこり微笑んで言うと、子供たちは我先にと殺到。 その様子を見ながら自分の欲しい景品がとられそうではらはらしている炎と、冷静に分析している真が遠くから見ています。輪投げのルールは簡単、四角い台に乗った景品を、台ごと輪の中に入れたら景品はもらえます。 百円で三回ですが、やはりどの子も台まで入れることはできず、しょぼんとしながらおまけの景品をもらうのです。景品自体に入るからそのがっかり度は推して知るべし。 ほとんどの子が終わって、店から客がいなくなります。 「……炎。 景品は決めたか?」 「ああ。ばっちりだ。お前は?」 「勿論決めた」 『ミニカーだな』 と。二人の言葉がはもって、にかっと笑みを交わします。 奥の方にずらりとならんだミニカーの一群。 それに、彼らは目標を合わせます。 「よし。店主、俺は三回やるぞ!」 「俺もだ」 幼稚園児から巻き上げられてほくほくしていた親父は、新たな鴨が来た!とばかりにはいはいと返事します。二人は三百円を手渡して、九本の輪投げを貰います。 炎はよく狙いを定めて、一投目! 目標に引っかかるものの、ちょっとずれて台に入り込まない。店主のおやじがにやっと微笑んだ瞬間、すかさず二投目を投げます。二投目は、景品そのものではなく一投目の輪投げを狙ってのこと。 輪っか同士が当たり、その衝撃で一投目の輪は台の奥に落ちるのです。 「どうだっ!」 勝ち誇ったとばかりに声を上げる蟹眉の園児。 ひきき、と唇を引きつらせながら親父はその子にしぶしぶ景品を渡します。 その後ろでは真が投げ始めて。真は同じような戦法を使って次々に景品をしとめていきます。結局二人で九台のミニカーをゲット! これで昨年のリベンジが叶った二人は、イエーイと勝利の歓声をあげ、手をぱちぱちと合わせます。 「……ぼくたち凄いなぁ……」 親父は、やられたという顔をして二人の景品を袋に包んであげるのでした。 戻る ・ 今の雑記 |