大佐と三浦 071220
サンタさん、お願いしますっ。
最近カミヨミが足りないです。
何が足りないって、我が家に一巻一冊という状態が足りない。
二冊欲しい。二冊必要。いや欲を言えば三冊か四冊……。ええ、まあそこまではいいません。二冊、二冊ぷりぃぃぃぃず。だって二冊あれば寝所に一冊、机の上に一冊って出来るんですよ!
もう七巻は二冊買おうかなぁー。寝る前に毎回枕の下に入れて夢をみようと試みているんですが、もういい加減面倒になってきたよ……っ。二冊欲しいよう。
さて、無駄な前置きはともかく、小説に出来なかったネタ。
裏切ったと判った後に大佐の所へ三浦(天狗ver.)がきた、という設定で妄想してます。うん、こんな話があって、姫様とかに続いてたら萌えるなー。
「後悔、と読める」
「何が?」
「お前の顔さ。
……まあ、どうでもいい。
次会ったら殺すぞ、お前は存在そのものが邪魔だ」
「おやおや。
気に入られてしまったようだ」
彼女の忌々しそうに舌打ちをするのが、にやついた表情が張り付いた三浦の元へ聞こえた。
裏切り者は窓に、それを処罰する者は扉に居た。蘭が部屋に入ってきたとき、彼は声をかけたのだ。
二人の間には五尋以上の間がある。居合いの間合いを倍以上にした距離だ。
三浦が敵だと判明してから、二度目の来訪だった。
黙っていようと思っていたのに、腹の中に疼く言葉がどうしても抑えることが出来そうにない。
「……お前は、せっかく、人以上になれたというのに。その強さ、どうだ、素晴らしいものじゃないか。お前の手で大抵のことならどうでもなろう。命のある限り、好きなことが出来る。違うのか? ほら、そうだろう。
だったら何故、喜ばぬ? どうして悔しがる?
そんな物欲しげな顔をするのだっ! ふざけるなっ。
……そんなにも……そんなにも人に固執するなっ!」
吐き捨ててから、蘭は、言っているうちに興奮している自分をいさめた。再び、邪魔だと繰言のように口の中で呟きながら黙りこくる。
いつもの人を小馬鹿にした雰囲気はなかった。
彼女自身、その言葉が間違いであることはわかりきっているのに、気づかない振りをして意見を押し付けているのだ。
「……そういわないと、哀れだからですか?
貴女が。
そして、貴女の、大切な大切な部下が」
三浦はもっとも的を得た答えを返した。
首を上げた女の目は、憎悪に満ち満ちて輝く。人工の灯かりと月の明かりが、その瞳で混ざりあった。
「人から嫌われることが最後のプライドだなんて、まったく、甘えているにも程がある」
「甘えて何が悪い。
傷を舐めあうために集まっているのだ。
お前らのように、一人で生きている奴らに何が判る?」
「人は人なのですよ、良くも悪くも。
どうやら御子息はそれを理解されているようだ。人以外になることも出来なければ、人以上なんてあり得ない。
なのに、人は人をバケモノと呼んで恐れ敬う。人にバケモノと呼ばれて安堵する。
……まったく、滑稽ですねぇ」
ケラケラと上がる笑い声。
その言葉に、はかない理性の箍が吹っ飛んだ。
剥いた、血走る目。
そこに抜き身の刃が映る。蘭は思わず怒りのままに抜刀していた。―――それは無意味な行為。決して武人ではやってはならぬこと。……なぜなら、真剣勝負の場においては、それが死に繋がるからだ。
「滑稽なのはお前自身だっ!
人以上だというのに、己を人ではないと貶めるなっ」
寸の間、窓の外で立つ三浦が黙り込んだ。
まるで、悪戯がばれた子供のように、床の上に視線を這わす。
興奮した蘭は、肩で息をついた。牙から漏れる荒い吐息。
「……貴女は、私の顔から後悔を読み取った。なのに、それを無視して殺そうとしている。あなたは、そういう人です。そういう冷酷で正しい道を進む人ですよ。
ですから、お願いです。
―――お願いしますから。
そうやって、泣くのは、止めて下さい。
そちらへ行って、慰めたくなる。
涙を拭いたくなる。
…………一人にしておけなくなる」
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