02/07/2006 「だからさ。 頼むから普通の幼稚園らしい授業してくれよ。 お前がいちいちするたびに隣の教室ではらはらするのは面倒なんだよ」 先生たちの反省会。 カミヨミ幼稚園は半分保育園のような状態で(すみません、幼稚園の帰宅時間って知らないんです)、午後七時に最後の子供を送り出して先生たちの反省会が始まります。 零歳児担当と書きましたが、よく考えれば幼稚園にそれはないので四歳児担当の八雲先生。 腕白坊主予備軍の五歳児担当、飛天先生。 先生自体が腕白坊主な日明先生は六歳児担当。 隠し冷蔵庫から酒を取り出し、がつがつ飲み始めます。飛天先生と八雲先生にとってはお酒は栄養剤。夕飯前の休憩のようなものです。肴は塩か味噌。 ただし、園長先生にばれると厄介なので、こっそり隠しています。 園長先生は日明先生の一人息子の天馬と、天馬の嫁でカミヨミの菊理ちゃん。園長夫婦はカミヨミ幼稚園の金策に追われているためなかなか幼稚園には出てきません。ていうか、天馬とかサラリーマンやっててくれるといいです(どういう幼稚園……) まあともかく反省会。 「何が言いたいんだ?」 「何がじゃねえよ。 お前音楽のお遊戯だったはずなのに、なんで途中から忍びの村における暗号通信のやり方とかになるんだよ。 ……いや、そういうことじゃなくて。それをあのガキどもが覚えたらまた厄介になるじゃねえか。揉め事の下地を作るなっ」 「まるで私が悪いみたいな言い方はやめてもらおうか。 だいたい、攻撃されるのはお前が悪人顔だから悪い」 「あくにんづらだぁ? オメエに言われたくねえんだよっ」 「ま。 年長組みの悪戯はもっぱら飛天対象だからあたしはいいんだけど。 たまには遊びに来てくれないかしら〜」 「………………そういえばお前に捕まった毒丸が一日中泣きじゃくっていたんだが何をしたんだ?」 純粋に興味があって、蘭はぱちくりと大きな垂れ目を瞬かせながらたずねる。 八雲は少し困ったような顔をして(その瞬間言い訳を考えて)、顎に手を置きふぅとため息をつきます。 「男の子の身体の神秘を探ってたのよ☆」 その言葉に、ぞくっと二人の先生に悪寒が走る。がたがたっと二人とも音を立てて立ち上がります。 「わ、わ、わ、私のクラスに手を出したら散らしてくれるわっ!」 「俺んところのガキは可愛くねえし旨くもないっ! だから、触るんじゃねぞっ」 互いに自分の生徒たちを守るのに必死に叫ぶので、底意地の悪い八俣先生はにやりと微笑みます。 「……じゃあ先生の方にターゲットを狙え、と?」 「真とか現朗とかは舐めるまでは許してやるっ」 「凶人に出すなら火生に先に出せよっ」 電光石火の変身。やはり己の身が一番大事なのです。 そんなこんなで続く酒盛り。 がら。 ―――と、こんな時間に部屋に来る人が。 吃驚したような顔をした天馬。 「せ、先生方、まだおられたんですか!? あっ。 あれほど職員室ではお酒はお止めくださいといったのに……っ!」 えーっととぽりぽりと人差し指で顎をかきながら言い訳を考える飛天と八雲。いそいそと自分のコップを机の下にしまって証拠隠滅を図ろうとする日明先生。 天馬はむっと全員をにらみつけます。 「……いや、その、少し話したいことがあって弾んでな……っ。 そ、そうだ。 菊理は?」 「今夕飯の用意が出来ましたよ。 飛天先生も八俣先生もどうでしょうか。昨日竹の子が送られてきて、今日は筍尽くしなんです。お二方が来てくれると、菊理もとても喜ぶのですが」 どうする、と目で互いに合図を交わす。 「……ええと。 今、菊理の実家から帝月も瑠璃男も来ているんです。 大勢で食べたほうが、きっと楽しいでしょうから」 そこまで言われてはしょうがない。 とばかりに、二人は「じゃあ今日もすまねえな」「菊理ちゃんの手料理楽しみだわ」と。 嬉しそうに天馬は微笑みながら、先生たちに囲まれたお酒を取り上げます。 「でもお酒は駄目ですからね」 グサリと釘をさしておくことは忘れない、やり手の園長先生。 戻る ・ 今の雑記 |