・・・  復讐也!3  ・・・ 


 手で、前髪をかきあげる。
 眠っている激の顔を見ながら、現朗は自然に笑みが浮かんだ。
「よく似合っている」
ドレスは、今は激が着ていた。
 いつも、激が女装を面白半分でしている時に思っていたのだ。
 そのまま。そのままで犯してやりたい。服は体の一部ではないのに、何故こんなにも刺激するのだろうか。
 白い箱の中には、なんとレースの下着まであって、それを嫌がる男に履かせて堪能した。
 髪を垂らし、上目遣いで睨む青年が思った以上に可愛くて、理性が吹っ飛んだ。
 結果がこれである。
「……んっ」
ようやく目を覚ました男に、口付けをする。
 嫌がるように顔を離した。
「……ってめ……どんだけしやがったんだ……このっ!」
「可愛いなぁ」
「誤魔化すなぁっ」
体から襲ってくる鈍痛で、自然ぼろぼろと涙が湧いてくる。
 理性のとんだ現朗には言葉は全く聞こえなくて。
 その顔ばかりが目に入って。
「まだやろうとかしてるだろっ! お前っ」
「もう少し。な、少しだけ」
笑顔であやされるように言われると、まるで自分のほうが悪いかの錯覚にとらわれる。お願いだから、と投げかける、その瞳は卑怯だ。
 だが、後のことを想像して激はしっかりと首を振った。断固として譲れない。
 現朗は暫く顔を見つめ続けていたが、激の意思が固いのを知ると手を変えた。
 涙を口で拭い、背中をさする。あまりに優しい調子に、初めは戸惑っていた激だが次第に力が抜けてきた。身を委ねる。布のこすれる音が、淫らに響く。激の顎を持ち上げて、舌を入れながら唇を貪った。唾液が喉を伝わり、次第に、激が熱い瞳をみせてくる。

 ……このまま二回はいけるな。

 と、猛禽類が画策していることを気づかなかったがために。
 罠にかかった兎は、強制的に朝まで付き合わされたのである。