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手で、前髪をかきあげる。 眠っている激の顔を見ながら、現朗は自然に笑みが浮かんだ。 「よく似合っている」 ドレスは、今は激が着ていた。 いつも、激が女装を面白半分でしている時に思っていたのだ。 そのまま。そのままで犯してやりたい。服は体の一部ではないのに、何故こんなにも刺激するのだろうか。 白い箱の中には、なんとレースの下着まであって、それを嫌がる男に履かせて堪能した。 髪を垂らし、上目遣いで睨む青年が思った以上に可愛くて、理性が吹っ飛んだ。 結果がこれである。 「……んっ」 ようやく目を覚ました男に、口付けをする。 嫌がるように顔を離した。 「……ってめ……どんだけしやがったんだ……このっ!」 「可愛いなぁ」 「誤魔化すなぁっ」 体から襲ってくる鈍痛で、自然ぼろぼろと涙が湧いてくる。 理性のとんだ現朗には言葉は全く聞こえなくて。 その顔ばかりが目に入って。 「まだやろうとかしてるだろっ! お前っ」 「もう少し。な、少しだけ」 笑顔であやされるように言われると、まるで自分のほうが悪いかの錯覚にとらわれる。お願いだから、と投げかける、その瞳は卑怯だ。 だが、後のことを想像して激はしっかりと首を振った。断固として譲れない。 現朗は暫く顔を見つめ続けていたが、激の意思が固いのを知ると手を変えた。 涙を口で拭い、背中をさする。あまりに優しい調子に、初めは戸惑っていた激だが次第に力が抜けてきた。身を委ねる。布のこすれる音が、淫らに響く。激の顎を持ち上げて、舌を入れながら唇を貪った。唾液が喉を伝わり、次第に、激が熱い瞳をみせてくる。 ……このまま二回はいけるな。 と、猛禽類が画策していることを気づかなかったがために。 罠にかかった兎は、強制的に朝まで付き合わされたのである。 |
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