* カミヨミ *






 「ねえ。そういえば前から聞きたかったんだけど。
 あんたたちの言うカミヨミって、つまり、一体全体なんなわけ?」
「菊理姫のことだが?」
「それは今のカミヨミを継いでいる人でしょう?
 そうじゃなくて、カミヨミってものの定義を教えてよ」
「…………………………。」


 ******

「警視総監殿。
 申し訳ないがうちの大佐に頭を使う仕事を持ってくるのはやめていただきたい。
 おかげで一昨日は知恵熱が出るし、昨日は考え込んで動けないし、今日は泣きながら椅子の上でうずくまっていられる」
数日後、警視総監の部屋で一人の男が冷たい目でやって来た。
 金髪の白服の軍人をいったんちろりと見上げて、そして、盛大にため息をつく。
「あんたらって、上官過保護過ぎなのよ」

 カミヨミの意味が実のところよくわかりません。




* 御霊 *






 「大佐、大佐、大佐ぁぁっ。
 元帥府から緊急の手紙だっ!
 悪質なオタマが浅草に出たってっ。急げってっ」

 ばんっ

 と、激が大声を上げながら入ってきた。
 大佐以下全員の視線が、彼に集まる。
 え? と、黒髪の動きが止まった。

「オタマだって……オタマだってよぉ。ぎゃはははっはははっ。
 さっすが激ちゃん。零武隊のアイドルっ。やることなすこと可愛いねっ」

「ほら。これが総受けの力ですっ」
「聞きましたか? これが可愛いってことなんですよ、大佐。
 大佐はちっとも少しも全く全然一部の隙なく可愛くありません」
「なっ!?
 わ、私だって……私だって……こ、このくらい……」
『無理無理』

  激は受だと思う。
 御霊はミタマ、オタマではありません。





* 常世の存在 *






 「これから昼飯調達作戦を実行するぞ」
「帝月。俺の準備は大丈夫だ」
「わいもでっせ」
「お兄様たち、頑張って下さいまし

「…………ヨモツヒラサカ通りませ……。
 チビキノイハを開きませ……。
 現世と常世を括りませ ……」

「来たぁっ!
 常世の長鳴鳥だっ! 瑠璃男、そっちへ行ったぞっ」
「ほいなっ。天馬、尻尾押さえな」
「くえぇぇ―――っ。ヒゲっ、ヒゲッ。コッコ―――」
「今夜は焼き鳥ですぅ☆」

  現世の長鳴鳥は天然記念物なんで食えません。明治は大丈夫……だったかな。




* 警察 *






 「お母ちゃーん、警察が来たよー』
「こら、危ないから近づいちゃいけません」

 「知ってるかぁ? 警察にあったときは、目をあわさなければ大丈夫らしいぜ?」
「そうか。なるほど」
「ああ。でも目が合っちゃうと、連れてかれちまうんだってさ」
「怖ぇぇーなぁー」
「ごっつぅ筋肉質のオカマが近づいたときは、目を伏せて逃げろよ」
「おお。わかった。兄ちゃん」

 「ここより先、警察立入禁止……ああ。こういうポスター増えましたねぇー」
「まあお札みたいなもんですよ。
 痴漢注意みたいな」
「痴漢より警察ですからねー」

 ******

 「……ねえ。うちの悪い噂をちょっと零にしてもらいたいんだけど、無理?」
「………………とりあえずお前が制服を着て、セクハラをやめて、ついでに辞職して腹を切ればなんとかなるんじゃないか?」

  警察 = 威厳が大ピンチ。ていうか修復不可能。




* 帝都 *






 「毒丸。
 ここは帝都だ。東京ではない」
「えーっ。またやり直しぃ
「三歳児がするようなミスをするお前が悪い。
 ああ。ここも東京になっているが帝都だぞ。こっちは東京だ、東京っ。なんでここを帝都と書くのだお前は。駄目だ駄目だ、すべてやり直し。はじめから書き直しだ。一枚の報告書にどれだけ間違えれば気がすむんだ」
「うわーん」

  帝都と東京の違いがわかりません。
 広辞苑四版によると
    帝都 = 皇居のある都。皇都。
    東京 = 日本国の首都。1868年9月、江戸幕府の所在地であった江戸を東京と改称、京都から遷都。78年府制を施行、89年これを15区に分けて東京市とした。
 ……だから違いがわかりませんって。